彼の甘い包囲網
何者をも引き込んでしまいそうな紅茶色の瞳が私を見つめる。

私の頑固さは奏多と柊兄が一番よく知っている。


「……わかった…」


フウ、と奏多が一息吐いて、髪をクシャッと掻き上げた。

その仕草すら色香が漂って、意思表示をしているのにクラクラとその熱に負けそうになる。

足を踏ん張り、奏多を見返す。


「卒業まで待ってやる」

「え?」

言われた意味がわからずキョトンとする。

「大学を卒業するまで待つから、その間にお前は俺への気持ちをきちんと理解しろ。
但し、条件があるけどな」

「……条件?」

ニッコリとまるで王子様のような微笑みを浮かべて、奏多は頷いた。

「条件をのむか、のまないかはお前次第だ」

「じ、条件って、何か痛いこととか、お金が絡むとか、家族や友達が困るとかそんなんじゃないよね……?」

黒さを感じるような微笑みに確認すると。

「……当たり前だろ
お前は俺を何だと思ってるんだ」

物凄く冷たい視線を向けられた。

「じ、じゃあ、いいよ。
条件、ちゃんとのむよ」

「言ったな?」

その瞬間、奏多は心底嬉しそうな表情を浮かべた。

あれ?

いつまでも待つとか言ってたのに何で形勢逆転しているんだろ……。
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