「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日

あ……御崎。
御崎は、ちゃんと家に帰ったかな。


だけど御崎の存在を思い出しただけで、雁字搦めになっていた糸はすんなりと解けた。
胸の中を清々しい風が吹いているような感覚に見舞われる。

御崎が無事なら、怖くない。
こんなわたしでも御崎の役に立てたと、嬉しくなるから。
もう死ぬとしても、消えてしまうとしても、すっきりとした気持ちで逝ける。


「……わたしは、大丈夫」


怖くないし、寂しくない。
御崎を失うよりも、心は軽い。


「全然、平気」


呪文のようにそう呟いて。
かちかちに固まってしまった足を一歩ずつ動かす。
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