「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日

...4

腕の時計を確認すると、長針は十一を指していた。

確かわたしが起きたのは八時で、それから満足に朝食も食べずに御崎の家へ向かった。
そして御崎も十分もかからずに見つけられた。
たぶん、一時間くらいしか動いてなかっただろう。

ということは、わたし二時間も寝ていたんだ!


「うわあ、あと少ししか時間はないっていうのに! 緊張感なさすぎだよわたし!」


周りに誰もいないのをいいことに、わたしはそう叫びながら、地面から飛び起きた。
だけどコンクリートの上で寝ていたからか、体の節々がずきずきと痛んだ。
自業自得だと溜め息をつく。

慌てふためき混乱する自分の頭を、幾回か叩き落ち着かせる。
そしてゆっくりとあの男の言った言葉を思い出した。


〔あなたが存在できるのは正午まで〕


すなわち、あと一時間でわたしは消えてしまうというのだ。
あと一時間。六十分。三千六百秒。
短い。短すぎる。

混乱して、脳の中の細い糸が絡まっていくのを感じた。
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