放課後○○倶楽部
第一四話:一夜明けて。
 一夜明けて平穏な朝を迎え、そして気付けば放課後。

 昨夜の最終決戦は大魔王と馬鹿勇者(和音さんと副生徒会長の決闘)は一二ラウンド引き分けで終わり、天才と天然の『天々娘』達は天才の一ラウンドKOで天然の号泣で幕を下ろした。

 何ともうやむやの内に終わった感があるのだけど、外に出れたので文句はない。

 あれで外に出る事が出来なかったなら俺の機嫌は最高潮に悪かっただろう。一緒にいた律子ちゃんがどうなっていた事やら……別に身体に危害を加えるつもりはないが精神的な被害は尋常ではないと思う。


「ふう……眠い」

 微妙な睡眠不足で頭がぼんやりとしている俺の視界には昨日の再現ビデオを見ているような光景が広がっていた。

「ちょっと、華子! なんで今日もいるんだよっ」
「今日は翔様に用があって来たのよ! あなたには関係ないでしょ」

 昨夜から冷戦状態の二人だから会話がかなり殺気立っている。

「梅津律子、あんたにこの問題が解けるかしら」
「で、出来ないよお。これ、大学の入試問題だよ」

 こっちは完璧に優位に立っている天才が天然を弄んでいる。


 ……大変だな。


 一晩でやけに賑やかになった部室内で男二人は肩身が狭い。だが一人はとても嬉しそうに鼻の下を伸ばして鼻息が荒い。

「コハルちゃんって、ちょっときつそうだけど可愛いね」
「そんな事言っていると、酷い目に遭いますよ。あいつ、『手加減』と『躊躇(ちゅうちょ)』って言葉を子供の頃に捨ててますから」
「……さすがはともちゃんの従妹だね」

 それは誉め言葉ですか?

 が、すでに俺の事など無視をして女の子達(主に下半身)に釘付けの変態部長は徐々に身体を屈めていく。
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