放課後○○倶楽部
第一五話:七不思議摩訶不思議
 七不思議――。

 それは学校には必ずある怪奇現象や不思議な言い伝えなどの総称的なものである。しかし、七不思議と言われているものはほとんどが噂話や地元に伝わる伝説をアレンジしたものであったり、その学園のシンボル的場所と結びつけるなど、生徒が面白半分で言い伝えているのがほとんどである。

 そして、どの七不思議も『七つ目を知ると不幸になる』と言われ、それが七不思議を恐怖の対象と探究心を煽る結果となっているのだろう。


「……七不思議を探す?」
「そう! この学園にある七不思議を検証しようではないかっ」
「却下します」
「な、なんでだよ! ともちゃあーんっ」

 鼻先一〇センチほどで叫ぶ変態部長の顔を横に避け、飛んできた唾を拭いてため息を吐いた。

「いいですか……夏と言えば怪談。怪談と言えば七不思議。そんな連想ゲーム的な安直な発想に付き合ってるほど俺は暇ではありません」
「いいじゃん。七不思議を堪能する学園ツアー……女の子をいっぱい呼んで『きゃー、恐いっ』って抱きつかれたらウハウハだよ、ウハウハっ」

 エロ親父全開の変態部長は妄想の世界に旅立っていったが、今時「ウハウハ」なんて言う人がいたんだな。

「和音さん、やっていいですか?」
「うーん……昨日、私がやり過ぎたから少し壊れたみたいなんだよね」
「でしょうね。顔が酷い事になってますから」
「顔は変わってないだろ?」

 いえ、かなり痛い事になってますよ。

 まず右と左で顔の大きさが微妙に違うし、ありえないほど大きなたんこぶがあるし、瞼は紫色だし……数えればきりがないほどの変わり様である。


 ……ゾンビより酷いかも。


 律子ちゃんは部室に入って来てこの顔を見るなり、泣きながら出て行って帰ってこないし、一緒に来たコハルも先ほどから一言も言葉を発する事なく、部長を見ないように膝を抱えて固まっていた。

 何故コハルがここにいるのかと言えば、電脳革命クラブの栄えある六人目の部員として部長が許可したらしく、「私は入部する気はない」と断ったが強引に押し切られて結果として仮入部という形になった。

 まるで俺が入部させられたときを見ているような光景だったが、コハルも強引な押しには弱いようだな。訪問販売には気をつけろよ。
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