放課後○○倶楽部
 耳栓までしているのに聞こえているとは本能で聞いているのだろうか? それほど恐い話が苦手なのになんでこの話を聞きたがったのか不思議で仕方ない。

「何もそこまで恐いのなら聞かなくてもいいだろうって」
「だ、だって……気になったから」
「気になるって、何が?」
「桜井先輩の態度がちょっと気になったし、『幽霊じゃなくて生きてる人間』って言ったのも気になるでしょ? なら、それを知りたいと思うのは人間の心理だよ」

 理路整然と話しているコハルだったが、気付けばいつの間にか壁際まで下がって震えていた。


 ……馬鹿だな。


 確かに和音さんの態度は気になるものだがそれを俺達がどうこう出来るものではない。それに話したくないのなら無理に聞くのは俺の主義ではないし、影で隠れてコソコソとするのも俺の主義ではない。

「俺は何もしないから一人でやるように。まあ、コハルは強くて頭のいい子だから一人でも大丈夫だよね?」
「だ、大丈夫よ! な、ななな、何を言ってくれちゃってるのからしねえ、トモ兄ちゃんは」

 「からしねえ」ってなんだよ。

 すでに頭がパニックになって壊れているコハルはロボットのように足をギクシャクと動かして部室を出て行き――
「……伏峰先輩、コハルちゃん大丈夫どうしたんですか?」
 入れ違いに入ってきた律子ちゃんは不思議そうな顔をしていたが俺は適当に答えていた。
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