放課後○○倶楽部
第二〇話:人生、予想外な出来事ばかりだ。
 あまりに唐突な事を言われて一瞬ではあったが頭の中が真っ白になってしまった。
 生徒会長は「一応、海藤君に話しておきます」と言う事で一緒に部室へと行く事になり、現在大方の話が終わってリアクション待ちの状態であった。
 いわゆるドローして攻撃を終えたので相手のターンである。
 そう言えばカードゲームが最近は多種多様なもので、ルールが簡単そうだが複雑で頭をフルに使って知略の限りを尽くすのは最高に面白いと思う。俺も昔は少し遊んだ事があるけど、今は机の引出しで肥やしになっている。おっと、また話が逸れてしまった……最近、頭が暴走気味だが周囲の影響が大きいのだろうな。

「……ほえ?」
「廃部勧告って、まだ予算審議会は先の話だろ」

 間抜けな声で呆けている部長とは対照的に、今にも噛み付いてきそうな勢いで歯を剥き出しにしている和音さんに怯え、俺の隣で悪戯をして叱られている子供のように縮こまっている生徒会長がいた。
 予算審議会とはこの学園にある委員会や部活の今年度の活動に対して、来年度の予算を概算で算出する会議の事である。
 出席者は各部活動の部長と各委員会の委員長。そして審議会議長に生徒会書記長が就任し、二学期の始業式から二学期の終業式までの間に審議、監査、予算編成の全てが行なわれるのが決まりになっている。ちなみに書記長は公正な判断を下す必要があるので一切の部活動を禁じられており、『生徒会の中で一番忙しいのは書記長で、就任すると必ず痩せる』とまで言われる過酷な仕事である。
 今年度の書記長である三年の江頭先輩は、就任する前は七〇キロあった体重がすでに五キロほど痩せ、現在も体重が減っていると言うのが気の毒でならなかった。まあ、生徒会長に逃亡癖があってワガママな副生徒会長が上にいれば、気苦労も絶えないだろうけどね。
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