放課後○○倶楽部
「江頭書記長がこのままでは活動予算が二学期まで持たないって言い出したの」
「それじゃ、なんで廃部勧告なんて発令してるのよ」
「まだ発令はしてないわよ。一つの案として『現在、活動をしていない部活動を把握しておく必要がある』って話になっただけで、生徒会長にはその調査方法を考えて欲しいってお願いしたのっ」

 と、生徒会長を睨む副生徒会長。
 二人に睨まれて更に小さくなっていく生徒会長は浮気が見つかって彼女と浮気相手に板ばさみになっている男みたいに見えるが、『調査方法を考えて欲しい』という副生徒会長の言葉が気になった。

「ナコナコ、調査って何?」
「誰がナタデココよ! って、東山……何してるのよ?」
「何って私もここの部員だし」

 俺の聞きたい事をズバっと聞いてくれたママッキーさんに驚いた様子の副生徒会長は目を丸くしていたが「そうだったわね」と片付けて咳払いをしていた。

「そんなに驚く事はないさね。それより、調査って何さ?」
「調査って言うのは活動していない部活や委員会を調べてもらうのよ」

 簡単に手短な説明でママッキーさんを一瞥し、俺達を見渡した副生徒会長は意味もなく生徒会長の頭を力いっぱい叩いていた。ちょっとかわいそうだがとてもいい音がしたので俺も叩いてみたいなと思ってしまったが、話の内容はかなり重いものでそんな雰囲気ではなかった。

「……つまりはスパイをしろ、と?」
「スパイとは違うわよ。これは言わば学園のヒーローにしか出来ない一大イベントなのよっ」
「正義のヒーロー?」
「そう! この広い学園の中で誰かも好かれ、下民共の羨望を一心に受け、尚且つ活動内容を調査出来るようなヒーローは普通にはいないわっ」

 ママッキーさんに答えながら、目を見開いて拳を打ち出す副生徒会長。それを全て受けて瀕死の生徒会長。
 まさしく迷コンビだよな、この二人は。
 しかし、副生徒会長の発言は妙に具体的で誰の事を言っているのはすぐに分かってしまったのですけど。
< 159 / 161 >

この作品をシェア

pagetop