放課後○○倶楽部
「まあ、確かに部長が覗いているように見えますけど、これ……合成写真ですよ」

 俺の一言で部室内は一気に静かになっていたが――
「この写真、誰が作ったのか分かりませんが、かなり間抜けな作りですね。素人もいいところだ」
 構わず写真を見ながら続けていた。

「どうしてこれが合成写真だって分かるんだよ? 智樹」
「それはこの写真をよく見てください」

 写真を指差すとみんなが顔を寄せて来たので、とても暑苦しい事になっていた。和音さんと律子ちゃんだけならまだいいが、部長と中川先輩は余計だ。

 暑苦しいだけでなく汗臭いし、男臭いし、何より中川先輩の息がとても臭かった。昼に餃子でも食べたのかニンニクとニラの独特の匂いが鼻を奥を刺激してくる。勘弁して欲しいな……この先輩は。

「どこも変なところはないけど……?」
「和音さん――普通、光が当たった場合、影はどういう風に出来ますか?」
「……影?」

 再度、写真に目を落とす和音さんにつられて皆も写真に目を移していた。
 写真には更衣室の窓から中を覗き込む部長が激写されたかのように撮られているが、その構図には不自然さが滲み出ていた。

「この写真、更衣室に日が当たって壁の一部に影が出来ますよね? そして、この更衣室のうしろには体育館が映っていますので、この更衣室が体育館横にある女子更衣室と言う事が分かります」
「そう言われてみれば……そうだが、それのどこが変なんだ?」

 不思議そうに首を傾げる和音さんは分からない様子で俺を見ていたので、ヒントを出す事にした。
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