放課後○○倶楽部
「この更衣室は男子、女子、と並んでありますが体育館が隣接してあって、午前中は日が当たらない事で有名なはずです」
「……あっ、そっか。あの更衣室か」

 やっと俺の言わんとした事が分かったらしく、和音さんは写真を手に取ってじっくりと見つめていたが「そっか、そっか」と納得していた。

「この更衣室に日が射すのは午後からです。写真の影の具合から見るに……昼休み頃に撮られたものではないでしょうか? ほぼ真上から日が当たっているようで影があまり伸びていませんからね。それに部長の影がどこにもありませんし、制服や顔に出来ている影の具合は明らかに背景と違います。それらの事柄から判断出来る事象は合成されたものだと言う事です」
「あっ、本当ですね」

 和音さんが持っている写真を覗きこんでいた律子ちゃんも納得したように頷くと和音さんも一緒に「そうだな」と再度頷いていた。

この学園には校舎内と体育館に隣接して建っている更衣室があり、写真に映っている更衣室は体育館に隣接する更衣室で午前中は日差しが入ってこない。

 そんな環境にある更衣室なので薄暗くてジメジメして、梅雨の時期などはカビなどが繁殖して置き忘れの体操服が大変な事になったりする場所である。

 しかし、この写真では更衣室には日が当たり、足元に少しだけ影を落としている。影の具合から判断するにほぼ真上から日が当たっている計算になるので昼休み頃に写真"だけ"が撮られたのではないか、と推理出来るわけだ。

 まあ、これだけ不自然な写真を本物だと言われても信憑性がないが、中川先輩みたいな人なら簡単に騙せるかも知れない。
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