放課後○○倶楽部
「いまいち意味が分からないが、これが偽物だって事だな?」

 現に理解出来ない様子で和音さんから写真を受け取り、穴が開くのではと思うほど見つめている中川先輩だったが――
「よし、分かったっ! とりあえず後の事はこちらでやるので失礼する」
 制服のポケットに仕舞い、来たときのように慌しく去って行った。

 その姿を呆れた顔で見つめている和音さんは珈琲を一口啜って「うん、おいしい」とご満悦な表情を浮かべ、律子ちゃんはトレイを持ったままオロオロとして俺と和音さんを交互に見つめていた。

 何だか面倒事に巻き込まれそうな嫌な予感がするのだが、回避するのは難しそうだな。

「うわーん、僕は無実だっ」

 突然、泣きながら立ち上がった部長はどこから出したのか『冤罪って何?』と書かれた紙を持って部室の中を駆け回り、そのまま飛び出していった。

 泣き喚く姿は学園一の色男が台無しの風貌で、見ているこっちが情けないやら、恥ずかしいやら、そんな気持ちでいっぱいだった。

 さて、どうするのか考えないといけない……ようだ。
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