放課後○○倶楽部
 部長の顔は見事に真っ赤になったあと、青ざめていき、最後は土のような黄色になっていた。見事な信号機の出来上がりだが、普通なら死んでいると思う。それでも生きているのは部長の生命力が生半端なものではない証拠だろう。

 台所に出てくる黒い悪魔並の生命力だ。

「まあ、そんな人はほっといて今日はどうするんですか?」
「そうだな……聞き込みしても誰も知らないって言うし、ここは奥の手を使うか」
「…………奥の手?」

 その言葉と鋭く光る和音さんの瞳に、そこはかとなく嫌な予感がしたのでここは逃げるべきだろう。

「おっと、智樹……どこに行くんだ」
「いえ、ちょっとした野暮用を思い出したので……俺はいなかった事にして話を続けてください」

 立ち上がって部室をあとにしようとした俺の首(制服の襟ではなく、本当に首である)を掴んで悪魔のような笑みを浮かべている和音さん。

 この顔をするときは何かよからぬ事を思いついたに違いない。

「ちょっと智樹に協力をしてもらう必要があるんだよ。まあ、律子と一緒に頑張ってくれ」

 そう言って俺の肩をこれでもかという力で掴んで有無を言わせない迫力で迫ってくる和音さんに渋々首を縦に振ると嬉しそうに何やら用意をし始めた。

 あの和音さんに逆らうとあとで何をされるか分からないからな……触らぬ神になんとやら、だ。

「あ、あの……何をするんですか?」
「今はその事については聞かないで欲しいな」

 いきなり自分の名前を呼ばれてオロオロしている律子ちゃんは俺に聞きたそうな何をするのか聞きたそうな顔をしているが、俺は心の底からため息を吐いて椅子に座ると律子ちゃんは心配そうに俺を見つめてどうしていいか分からない様子で更にオロオロしていた。

 俺ってやっぱり不幸だよな……はあ。

< 30 / 161 >

この作品をシェア

pagetop