放課後○○倶楽部
 まあ、理由は至極簡単で、密着すると首に和音さんの立派なマスクメロンが当たって『柔らかくて甘くいい匂いがするマシュマロに包まれて天国にいるようだ』と、評判なのだが……俺から言わせてもらえば、天国よりも地獄だと思う。

 だって、あの人……この前も柔道部の部長と乱取りして保健室に送った猛者だから、俺は謹んでご辞退を申し上げる。

「おらっ、静かにしろ」
「ぐおおっ……し、死ぬ。かずちゃん、死んじゃうよお」
「かずちゃんって呼ぶなっ」

 更に首を締め上げる和音さんの腕をタップしてギブアップの意思表示をしているが、和音さんはお構いなしに首を締め上げていた。

 和音さんも手加減を知らない気がするんだけどな……本気で抹殺しようとしてるようにしか見えないし。

 でも、この和音さんが唯一勝てないのがこの部長だったりもするのが学校の七不思議かも知れない。

「和音さん、部長が信号機になってますよ」
「んっ? お……本当だ」

 さすがに人殺しをクラブ内(倫理的にどこでもまずいのだが)から出すわけにはいかないので、ここらで止めるとしますか。

「今は黄色信号ですから、注意しなければいけませんね」
「あ、あの……海藤先輩、生きてますか?」
「問題ないよ。この人はこれくらいでは死なないはずだから」

 今まで静かだった律子ちゃんが部長の肩を揺すっているが、まったく返事はなかった。
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