放課後○○倶楽部
「あ、あの……智美先輩」
「何かしら? 律子ちゃん」

 隣で前をじっと見つめていた律子ちゃんが”どうしたらいいのか私には分かりません”って顔を向け、俺の制服を強く握りしめてガンガン引っ張っていた。


 ……伸びてしまうですけど。


 身体が制服を引っ張られる方向に勢いよく傾き、律子ちゃんの何ともパワフルな一面を垣間見ているが――
「律子ちゃん、そんなものを見ては目が腐るから私の顔を見なさい」
 落ち着くように頭を撫でていた。

 案の定、俺の顔を見た律子ちゃんは顔を真っ赤にして俯いたので執拗に頭を撫でていると、下の方で小さく唸っている声が聞こえ始めた。これはまた、新しい反応だね……ちょっと面白いかも。

「そんなものって酷いよ! 僕を見捨てないでよーっ」
「黙らないと息の根を完全に止めますよ? 変態緊縛(きんばく)部長」
「うぐっ……ともちゃんが怖いよお」

 俺の睨みに泣き出してしまった部長。

 女子更衣室の真ん中で、天井から吊るされて亀甲縛りをされている変態部長。


 ……妙に似合ってるよな。


 それにしても完璧なまでに計算された縛り方をしているが、これはかなりの熟練した者の仕業とみた。そう言えば、この学園にはかなりの部活動が認可されていて、『縛り倶楽部』『サドマゾ同好会』『縄大好きっ子倶楽部』など変わった部活も数多くあったな。そんな連中の中に女子がいても不思議はないのだが、何故部長を縛り上げる必要があるのかが分からない。

 それに部室で和音さんのピンクボムを喰らって倒れていたはずの部長が、どうして先回りして女子更衣室にいるのか?

 まったくもってミステリーであるが、この人に常識は通用しないから無視する事にしよう。
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