放課後○○倶楽部
第五話:色々再認識。
 変態部長の覗き疑惑は一向に解決しないまま、数日が過ぎていった。

 別にあの部長のために頑張っても俺には何も見返りがない事に今更ながら気付き、張り切るのが馬鹿馬鹿しくなってきた。

 そんなわけで今日は部室でこれからの方針を決めるべく会議をする事になったのだが、そこはいつもの面々が揃っても何も進展しないどころか、話し合いにすらならないまま時間だけが無駄に過ぎていた。

 で、目の前でうっとうしい顔が「ともちゃん」と、自称『爽やかスマイル』という変態スマイルを振りまいて勘弁して欲しい状況になっているわけで――。


「部長……とてもウザイです。今すぐこの世から消えてください、介錯はしますので」
「ウザイって言わないでよ、ともちゃん。僕の事、嫌いになったの?」

 目の前には瞳に涙を溜めて潤ませた部長の顔。

 距離にして数センチ……男前の顔だが近過ぎるし、俺には男色の気はない。

「元々好きではありません。寧ろ、生理的に受け付けないくらいに大嫌いです」
「それは裏を返せば、大好きって事だよね? うわあ……嬉しいな、ともちゃんと相思相愛だあ」

 お花畑を歩く乙女のような笑顔を振り撒いて部室内を駆け回る部長。


 ……何故、そこでそうなる?


 この超ポジティブな変態部長の頭を一回開けて中身を漂白剤で滅菌洗浄したいと、今猛烈に通関してしまった。

 その際に記憶なども一緒に洗浄出来れば幸いだが、べったりとこびり付いた便器の黒ずみ並に難しそうな気がする。

 まあ、俺の脳内にもこの人の記憶があるので俺も洗浄する必要があるわけだが……深層心理まで侵食されているから難しいな。
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