放課後○○倶楽部
「うわっ、本当に無視しないでよ! 寂しいよ、ともちゃんっ」
「何をしに来たんですか? 部長」
「……もしかして怒ってるの、ともちゃん」
「呆れているんです。どうして面倒な事ばかり持ち込んでくるんですか、あなたは」

 ため息を何度吐いても収まりそうにない俺の呆れた心境を変態部長に語ってやりたいが、この人に何を言っても馬の耳何とやらなので無駄な事はしない。

「翔お兄ちゃん、私達いい妹になってますか?」
「ああ、なってるとも。君達は最高の妹さっ」

 窺うように上目遣いで変態部長の制服を掴んでいるメガネに、鼻息荒く肩に腕を廻した部長は「よしよし」と三人に声を掛け、『最高だよ、ともちゃん』と、言葉にしないがとてもご満悦な顔を俺に向けていた。

 その顔があまりにも変態丸出しの馬鹿過ぎで、呆れを通り越して哀れな気持ちが溢れてきてしまった。

 この人に何を言っても無駄なんだろうな……俺の話を真面目に聞いてはないだろうし、今は自分の世界に浸りきっているし。

「和音さん……あれを退治してもいいですか? 今なら瞬殺する自信があります」
「ほっとけばいいって」

 呆れた顔して律子ちゃんの胸を揉み続ける和音さん。

 その下で顔を赤くしてぐったりと項垂れている律子ちゃんが妙に色っぽくてちょっとドキドキしてしまったのは内緒にしておこう。

「和音さんも程々にしてくださいね」
「分かってるって。それじゃ、本気でいってみようかねえ……ふふふっ」

 妖しく光る和音さんの目に怯えきった律子ちゃんの目が震えていた。


 ……ライオンとウサギだな。


 何を本気でいくのか分かっているが俺の口からは何も言えない。

 まあ、それを止める気もない俺は最低な人間かも知れないが、ここは男の性に従って放置しよう。
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