放課後○○倶楽部
 見事に自分が『田之中華子だ』ってバラしているのに、未だに自分の事はバレてないつもりらしい副生徒会長が哀れになってきたが、この話に付き合わないと出れそうにないので仕方なく話を聞いている最中だった。

『その部屋には翔様と一緒に考えた扉のセキュリティを解除するために必要なパスワードのヒントが散らばっているわ。それを集めて部屋を出る事が出来たら帰してあげるから覚悟しなさいっ』

 もう、最後の方は何を言っているのか意味が分からなかったが、小さく機械の動くような音がして扉の横に三〇センチ四方の機械が壁の中から現れてきた。

『その機械にパスワードを打ち込むと、部屋から出る事は出来ますから汗水たらして探しなさい。そして、その部屋から出るためにあがく不様な姿を私に見せて楽しませてちょうだい、ほほほっ』

 どうやら、この部屋から出るためにはパスワードを入手して、この機械に打ち込む必要があるようだ。

 で、今頃になって思い出したがここには二人ほど足りなかった。部室では一緒にいたのにここで目が覚めたときはいなかったが、約一名の所在は今の副生徒会長の発言で分かった。

「部長はそこにいるんですね。では、和音さんはどこにいるのですか?」
『翔様は確かにこちらにいらっしゃいますわ。でも、桜井さんは――あの馬鹿女は今頃あなた達と同じ運命を辿っているでしょうけどね』
「はあ……そうですか」

 まさか、変態部長が副生徒会長と一緒にいるとは思わなかったが――
『ともちゅあん、頑張ってねえ。こっちにはおいしい御飯があるよーっ、一緒に食べたいから早くおいでよっ』
 その変態部長らしき声が部屋中に響き渡っていた。
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