放課後○○倶楽部
 向こうでは何やら副生徒会長が変態部長を止めようとして「きゃんっ」なんて乙女のような声を出しているのが聞こえていたが、その声を最後に雑音は消えて静かになっていた。しかし、変態部長はなんで苦手な副生徒会長と一緒にいるのだろうか? まあ、女性には優しい変態部長なので、条件反射でお誘いを受けてしまった結果がこれだろう。

 ただ、俺達まで巻き込むのは勘弁して欲しいのですけど……あの変態部長(ばか)は。

「律子ちゃん、聞いての通りだ」
「……はい」
「とりあえず、この部屋を出て和音さんを探して宥めに行くよ。下手すると、このマンションを破壊してしまうかも知れないからね、あの人は」

 今は部長よりも和音さんを救出するのが先だろう。あの人が暴れだしたら……考えただけで恐い。

「そ、そうですね……はあ」

 項垂れて力なく返事をする律子ちゃんはこの世の終わりみたいなため息を吐き、俺もその光景を想像して背筋に悪寒が走りぬけるのを感じていた。


 ……こっちまで死んでしまうな。


 暴れ始めたら手が付けられない魔王が大人しくしているタイムリミットは少ないだろう。俺は気合を入れて律子ちゃんの背中を押して部屋の中を捜索し始めた。
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