俺様外科医に求婚されました
店から出ると、不機嫌そうな顔でこっちをじっと見つめる諒太とバチッと目が合った。
「ちょっと、どういうことですか?帰るのは勝手ですけど、人の物まで持ち出すなんて」
私はそう言いながら人質になっていたコートとバッグを取り返すため、諒太に詰め寄った。
「悪い悪い」
すると諒太はそう言いながら、神業のようにふわりと、そしてスマートに私の肩にコートをかけた。
そして何故か自分の着ているコートまで脱ぎ始めたかと思ったら。
「これも着とけ。今日は冷える」
「けっ!結構です」
「いいから着とけって」
押し問答になりながらも、そう言うと少し強引に私の肩に自分のコートを羽織らせてきた。
…変わらない、こういうところ。
「カバンも…返してください」
一瞬の出来事に不覚にもドキドキしてしまったけれど、それを抑えながら私は冷静を装って右手を差し出した。
「これ?これは返せないな」
「はっ!?泥棒ですか?」
「だってこれを返したら、この店に戻るか、ここで俺と別れて一人で帰るかの二択だよな?」
「だったら何なんですか?」
強めの口調でそう言うと、諒太は何故か私を見下ろしてクスッと笑った。