俺様外科医に求婚されました
「懐かしいな、その噛み付く感じ」
「噛み付く?犬みたいに言わないでください」
「とりあえず、送っていくから」
はっ!?送っていく?誰を?誰が?
「車、すぐそこの駐車場に止めてるからちょっと待ってて。車に乗ったらカバンは返してやる」
「そっ、それ恐喝ですよ?」
「ははっ、何とでも言え」
諒太はそう言うと、悪びれる素振りもなく歩いていく。
その後ろ姿を見ていると、何故かふと…五年前のことを思い出してしまった。
あの日。約束の日。
時間通りに待ち合わせ場所にいた、諒太の姿。
いくら待っても現れない私を、ずっと待ち続けてくれていた、あの背中。
私はそんな諒太を、泣きながら見ていることしかできなかった。