俺様外科医に求婚されました
「一気に、世界が変わっていった気がしたよ。今まで何の関心も持たれてなかった次男の俺が、兄貴がいなくなった代わりに、兄貴が背負ってたもの全てを背負えって。その責任が俺にはあるからって。
跡継ぎはおまえしかいないんだからってさ。変な話だよな、兄貴がいなくなるまでは医者になれなんて言われたこともなかったのに」
聞けば聞くほど、ただ悲しかった。
間違っていたんだと、情けなくなった。
私はずっと、勘違いしていた。
父親が院長で、母親が理事長で。
大病院の息子だからというだけで、きっと何不自由なく幸せで、笑って、当たり前のように医者になった、そんな人だと思っていた。
でも実際の彼は、そうではなかった。
好きなことを諦め、お兄さんの背負ってたものを一手に背負い、世界を変えられて。
医者という道を歩んできていたのだ。
「でもまぁ、サッカーしかやってなかったバカでも。一年死ぬ気で勉強させられてたら、昴星高校って知ってるか?」
「えっ…はい、もちろんです。超のつく進学校ですよね」
「そっ。その超進学校の昴星に受かったんだ。びっくりだろ?俺ってもしかしたらすげーのかもって、ちょっと自分の力を過信してた。バカみたいに」
「どうしてバカみたいなんですか?昴星高校に合格するなんて、本当にすごいことじゃないですか」
「その合格が、本当に俺の実力によるものだったらな」
「えっ?それは…どういう…」
「母親が裏で糸を引いてた。いわゆる、裏口入学ってやつ?」
大和先生はそう言うと、チラッとこちらに目を向けた。