俺様外科医に求婚されました



甘い吐息だけが、車内に響いていた。

一度塞がれた唇はなかなか離れなくて。時折漏れる息は、次第に熱を帯びていく。

吸い付くような舌が絡む度、どんどん体も熱くなっていった。


「…んっ」


しばらくしてやっと唇が離れると、ほんの数センチの距離で視線が繋がった。

受け入れておいて今さらだけど…恥ずかしくてたまらなくなった私はすぐに目をそらしてしまった。


「理香子」

「…はい」


うつむきながら返事をすると、そっと顎を持ち上げられて、再び視線が繋がった。


「俺からのキスを嫌がらなかったってことは、そういうことだよな?」

「そういう…こと、とは?」

「理香子も俺のこと好きって思ってていいの?」

「えっ…と…それは…」



いいの?なんて言われても。
好きかどうかなんて、正直まだわからなかった。

キスをしたのも久しぶりで。
何年ぶりだってくらいご無沙汰過ぎだったし、今もまだ心臓がバクバクしてる。



「えっ、理香子ってそういう女なんだ?」

「えっ?そういう女?」

「好きでもない男と簡単にキス出来ちゃうような?軽い女なんだ?」


へぇーっとでも言いたげな顔で怪訝そうに見つめられ、わざとらしくため息を吐かれた。

軽い女?


「そ!そんなわけないじゃないですか!誰とでも簡単にそんなことなんてしません!全く軽くなんてないです!」


そう強く言い切った直後、何故かクスッと笑われた。

何?何で笑うの?


「何がおかしいんですか」

「ははっ、ごめん。誰とでもキスするわけじゃないんだよな?」

「だからそう言ってるじゃ…」

「つまり」


言いかけた声に、声が重なる。


「俺とだから。したってことだよな?」


そしてそう、問いかけられた。


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