俺様外科医に求婚されました
その手は私の髪を撫で、そっと頰を伝っていく。
そして頰からゆっくりと動いた指先は、今度はそっと…唇に触れてきた。
スーッとなぞられる唇に、身体中の全神経が集まっていく。
ただ、触れられているだけなのに。
心臓が爆発してしまうんじゃないかと思うほど、私の胸の鼓動はドキドキと高鳴っていた。
「あの、大和せ…」
言いかけた唇が、指先でそっと押さえられた。
「違うだろ?」
少し意地悪な口調でニヤっと笑みを浮かべた大和先生は、そう言うとジッと私を見つめて。
真っ直ぐな瞳で、欲しい答えを私から導き出すように。
ジッと目を合わせたまま、優しく微笑んだ。
その瞬間。
胸の中で、何かが音を立てて動きだしたような気がした。
何がどうなっていたのかはわからない。
まるでスイッチを押されたような、そんな感覚だった。
そして気が付けば…口にしていた。
「諒太」
自然と、そう名前を呼んでいた。
「よく出来ました」
そしてポンポンと頭を優しく撫でられながらそう言われた瞬間。
不覚にも…落ちてしまったかもしれないと思った。
だって、そうじゃなきゃおかしい。
「あー、可愛い過ぎて無理」
そう言っていきなり顔が近付いてきたと思ったら、いつもの私なら絶対避けるはずだし。
「我慢出来そうにない」
至近距離でグイグイ迫られながらそんなことを言われたら、何の我慢ですか⁉︎と、今までの私なら慌ててシートベルトを外して車から降りていたはずだ。
でも私は。
きっともう、落ちてしまっていたから。
「つーか、もう我慢出来ない」
そう言われ、強引に唇が重なってきても。
私は避けもせず、逃げ出すこともしないで。
「…っ」
彼からのキスを、受け入れていたんだと思う。