俺様外科医に求婚されました
「えっ…と……何ですか?」
慌てて口を開くと、大和諒太は少し不機嫌そうな顔で私を見下ろした。
「俺、送っていくって言わなかった?」
「えっ……言い…ました」
「なのに何、お疲れ様ですって」
「いや…えっと…」
「そんなに嫌?俺のこと」
シーンとする空気。
怒った顔を見たのはこの時が初めてで、思わず俯いてしまった。
「別に送っていくくらいいいじゃん。家を知られたくないなら近くで降りればいいし」
だけど怒っているように感じたのはほんの一瞬だけで。
「送り狼になんてなんないって。マジで、天に誓う。指切りしてもいい。嘘ついたら針千本飲む」
いつものように、ふざけた口調でそんなことを言い出したせいで、ふと笑みがこぼれた。
「針千本って、子供みたいなこと言わないでください」
言いながら、顔を上げた。
すぐ目の前で、白い歯が光る。
「うわ、ひど。子供みたいとか言うなって」
緩いカーブを描いた目元。
いつもは綺麗な瞳がパッチリとしているのに、その瞳が見えないくらい一本の線のようになっている。