たとえ嫌だと言われても、俺はお前を離さない。
その後、追い打ちを掛けるような出来事に襲われる。
「みんな聞いて! さっき進藤部長から、仕事上がったらちょっと時間あるかって呼び出されたの!」
楽しそうに嬉しそうにそう話すのは花村さんだった。
定時を間近に控えて落ち着いていた課内では、またしても「きゃぁっ」という女性社員の興奮した声に包まれる。みんながあっという間に花村さんを囲む。
「部長にはどういう様子で誘われたの!?」
「えーとね。部長、何か嬉しそうだったなぁー。珍しく笑顔だったよ!」
「それって絶対花村さんに気がありますよねぇー」
……どういうこと。部長は私と付き合っているのに、何で花村さんを呼び出すの? それに、笑顔って? 私のことを今朝、あんな顔で睨んできたのに……。
もしかして、この間結婚の話を流してしまったから? 結婚を拒否をしたつもりはなかったけれど、部長はそう感じてしまった?
それで、私じゃなく花村さんを……?
盛り上がる女性社員の輪の中に入ることは当然出来ず、私は自分のデスクで、まだ仕事が終わっていないフリをしながら、ぎゅっと拳を握り締めた。