わたし
 春が来たとよく感じるようになった。日差しは、春特有の心地よい柔らかさを持っている。
 庭が綺麗だ。花が咲き、冬とはがらりと変わった彩りを見せている。こんな日は、市も、春の暖い日に誘われた人々で賑わっていることだろう。
 暖い春の日ならば、薄着がいいに決まっている。そう思って服を選んで来た。薄い服
はやはり、春を感じさせてくれる。
 今日は特に用事も無く、真備と書を読む予定だ。
 そう思っていた時、向こうからやって来る人がいたのに気がついた。あの艶やかな着物、派手な髪飾り、…
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