求めよ、さらば与えられん
私とジーン王子との関係も少し変わった気がする。


最初は怖かった。でもそれはいつしかドキドキに変わっていた。今は一緒にいると落ち着く。


それもそうだよね。気付けばこの国に来てもうすぐで一年が経とうとしてる。



「あ……」

「何だ」

「あ、いや……何でもない」



思わず口に出ちゃったけど、こんな事言いづらい。それに自分で言う事でもないし。



「何でもない顔じゃない。 言え」



この人の命令口調にももう慣れた。



「別に何かしてほしいわけじゃないからね? 思い出したから思わず口から変な声が漏れただけだからね?」

「だから何だ」

「……明後日誕生日だなぁ〜と思っただけ」

「お前の?」

「そ、私の」



17歳の誕生日。


16歳の誕生日はヘンリーやマデリン、神父様、ロッシ先生、教会のみんながお祝いしてくれた。賑やかで楽しくて、まるで昨日のことのように思い出せる。


今年はレミーと二人でお祝いかな。


ジーン王子の肩に手を伸ばすと、レミーが軽やかに飛び乗ってきた。私の手のひらにすっぽり収まったレミーは仰向けに寝転がると目を瞑った。この気の緩みまくった姿を見るとつい頬が緩む。


肩に重みを感じてまさかと思ったら、ジーン王子も寝息を立てていた。ここで話をしていると必ずと言っていい程ジーン王子も寝てしまう。2、30分で目を覚ますけど……この人たち私のことベットだか枕だかとでも思ってるんじゃないだろうか。まぁ、そんな事で幸せを感じてしまっている私に文句を言う資格なんてないんだけどね。





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