求めよ、さらば与えられん
アウロラ!?


グレース王女がアウロラに触れようとした瞬間、アウロラの花びらや葉、茎に棘が生えた。



「お怪我はございませんか!?」



アウロラの突然の変化に驚いていると、薬室長の珍しく慌てた声にハッとした。



「驚いたけど、直ぐに手を引いたから触れはしなかったわ」

「そうですか、それなら良かったです。 万が一痛みや痒みなどの症状があれば直ぐに仰って下さい」

「分かったわ」

「見られたからもういいだろ? そろそろ失礼しよう」

「えぇ、そうね」



グレース王女の肩を抱くジーン王子の姿を見て、胸が痛んだ。2人が出ていくのを静かに見送る程の余裕などあるわけもなく、私はアウロラのそばへ駆け寄った。


アウロラの棘はまるで私の心情を表しているみたい。



「アウロラ……」



アウロラに手を伸ばすと、魔法のように棘が一瞬で消えてしまった。



「これは驚いたな」国王陛下の驚きの声と「俄然興味が湧いた」という意欲溢れる薬室長の声が重なった。


「僕はアウロラとは気が合いそうだ」笑顔でそう言ったルネ王子にすかさず指導を入れたのは、言うまでもなくゴルチエさんだった。リュカさんは苦笑いを浮かべている。


嫌な奴だと思われるかもしれないけど、私はアウロラが味方をしてくれた様な気がして嬉しかった。




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