求めよ、さらば与えられん
子供の様に泣きじゃくる私の肩をアウロラは抱いてくれた。


パパやヘンリーの温もりならよく知ってる。その感覚に似ていた。けどきっと、言うならばこれはママの温もりというものに近いのかもしれない。



「……ごめんなさい」



涙が止まり、頬に付いている涙を拭いながらアウロラに謝った。



「何を謝る必要がある。 わらわたちは家族なのであろう? 家族というものは悲しみや喜び、怒り…色々な感情を共有するものだ」

「うん…そうだね。 でも、八つ当たりしてしまったから…家族でも悪いと思った時は謝らないとダメでしょ?」

「うむ、それもそうだな」



不思議とアウロラには心を取り繕う事なく曝け出してしまう。甘えてしまう。



「明日からまた気を引き締めて頑張る」

「そう力む必要はない。 いつもの通りにすればよい。 わらわも付いておる。 その事を忘れるでない」

「ありがとう」



肩に乗っているアウロラの手に自分の手を重ねた。


彼の事で傷つくたびに確認する。好きなんだと……。それはいい事なのか悪い事なのかは分からない。どちらにせよ、この想いを直ぐにどうにかする事はできない。


呆れるほど繰り返される葛藤に思わず笑ってしまった。誰かを好きになるってこんなに大変な事なんだね……知らなかった。


両手で頬っぺたをパシッと叩いた。


今私がどんな気持ちだろうと戦場でやるべき事は変わらない。こなさなければならない。怪我人に私の私情など関係ない。





< 151 / 334 >

この作品をシェア

pagetop