求めよ、さらば与えられん
クリストフ王子のお部屋の前に着くと、警備の方が2人立っていた。



「薬室から参りました、バルドックです。 中に入っても宜しいですか?」



私の名前を聞いた途端警備の方たちは慌てふためいた。


この名前を名乗ることには慣れてきた。それでもみんなからのこういう反応は慣れない。気まずい。


普段クリストフ王子の部屋のあたりは来ることないし、私の顔を知らない人も多い。


大袈裟に扉を開けられ、思わずため息が漏れてしまいそうになった。許可を得て、私はクリストフ王子の部屋に足を踏み入れた。


寝室に入る前に声をかけると、扉が開いた。頭を下げるメイドさんの横を通り過ぎると、目の前に大きなベッドが近付いた。



「クリストフ王子、お身体の具合は如何ですか?」



お顔が見える位置で声をかけると、クリストフ王子はメイドさんに支えられながら上半身を起こした。メイドさんはクリストフ王子が座りやすいようにと、背中にクッションを入れてあげている。


クリストフ王子も綺麗な顔立ちをしている。それはジーンのものとはまた全然違う美しさだ。


優しく儚げで、中性的な容姿をしている。



「どうぞ、掛けて」



「失礼します」と言って、メイドさんが用意してくれた背もたれの真っ直ぐな椅子に浅く腰かけた。





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