【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
§お似合いなのは?
終電で帰宅し、シャワーを浴び、ベッドに潜り込む。寝返りを何度も打つ。なかなか寝付けなくて、押し入れにしまい込んでいたアロマデフューザーを引っ張り出してスィートオレンジの香りを部屋に充満させる。

リラックス効果のあるそれにあくびは出たけれど、決定打とはならない。どうしても瞼の裏にあのふたりがちらつく。

日付も変わろうとする深夜に男女ふたりが狭い空間にいて何事も起こらない保証はどこにもない。

だいたい、親である二階堂氏はどう考えているのか。高校を卒業したばかりの愛娘がよその男と一日中一緒にいて深夜に帰宅するなんて、どんな寛容な親でも心配するだろうに。

ましてや私の胸元につけられたキスマークをはしたないと言うようなひとだ。
そして一緒にいるのはそのキスマークをつけた張本人だ。


*―*―*

寝不足のまま、オフィスに向かう。一応ネックレスは身につけている。これを外してしまったら雅さんとの関係も切れてしまいそうで怖かったから。つけているからって、婚約者である証拠でもないけれど。

ただ、つけていると、雅さんが近くにいる感じがする。ネックレスをひっかけて私にするキスを思いだせるから。キミを逃がさないよ、って言われてる気がする。

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