【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
言葉を濁したところでちょうど前菜が届いた。アスパラと蟹のテリーヌ仕立てを春野菜のブーケサラダとともに、という伝言ゲームをしたら途端に間違うような洒落たメニューはお花畑をプレートの上で表現したようだった。ふたりで、うわぁ、と声をあげた。

唐澤さんは、こんな素敵な料理だからアルコールを注文しましょう!、と私にシャンパンを追加した。運転の彼の手前、申し訳なかったけれど、少しいただくことにした。唐澤さんはノンアルコールビールを注文した。

美味しい。辛口のシャンパンが春野菜の甘味を引き立てる。さすが秘書、素敵な店もそれを味わう食べ方も熟知してるなんて。

食欲もなかったくせに私は現金にもすべてを残さずいただいた。唐澤さんに甘えてアルコールもお代わりしたし。

きっとこういう店を雅さんにも勧めるんだろう、咲希さんを連れてどうてすか?、って。

帰り道も唐澤さんは安全運転だった。往きよりは少し口数は少なかったけれど、流してくれたホサノバに眠たくなって私は目を閉じた。

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