【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
*―*―*

雅副社長のスケジュールはハードだ。
拘束時間が長いから。

イレギュラーも発生しやすいので予定自体は緩めに入れてあるけど、社内からの飛び込みアポとか、逆にボスから呼び出しをしたりと副社長室は入れ替わり立ち替わり人がやってくる。

だから調べ物をするときは帰宅してから夜な夜なしている、とボスはこぼしていた。

毎日の睡眠時間は4時間。よく持つよな、と感心する。

秘書課でコーヒーを入れる。今日はブラジル産の豆。ペーパードリップで入れて二人分。副社長室のドアをカードで解除して中に入る。ボスは奥のデスクで書類の整理をしていた。


「失礼しまーすっ!! 雅副社長、コーヒーを……?」


しーっ、とボスは人差し指を立てて唇に当てていた。


「?」


ボスが視線で来客用ソファを視線で指した。

あ。

そこには咲希さんの姿。肘掛けに頭を乗せ、すやすやと眠っていた。オレは彼女を見ないようにしてコーヒーをボスのデスクに運んだ。

聞けば、咲希さんはボスに付き合っても毎晩遅くまで勉強していたらしい。


「唐澤、悪いが毛布を取ってきてくれないか?」
「はいっ! かしこまりま……」


ボスに再び人差し指を出されてオレは慌てて口を閉じた。

階下の倉庫に毛布を取りに行き、副社長室に戻るとボスの姿はなかった。静かな室内には空調の音と咲希さんの寝息。気持ちよさそうに眠っている。

その彼女に毛布を掛ける。わずかに立った風に彼女の甘い匂いが混じり、オレの鼻をつく。

あ……ヤバい。こんな無防備な姿。

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