甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
正確に言えば私以外の女子には紳士。
「翔は私に何を言いたいの?
今なら反省しますので仰ってください紳士様」
「今ならって…反省する態度じゃないよその格好。
そうだな……」
翔はいきなり机に頬杖をつく私に顔を近付けてきた。
鼻先が触れそうなほどに近付いた翔の端正な顔に、驚いて固まってしまう。
翔の薄い唇が三日月の形になって、妖艶に微笑む。
「…あんなに無防備に寝てると僕が結愛を食べちゃうよ…ってね?」
「え、え……!?」
どう反応したらいいのか分からず、言葉が出てこない。
そしてなんでか知らないけど顔が熱い。
熱くて溶けてしまいそう。
ふっ
目を泳がせて必死になんて答えようか考えていると、翔の笑った声が聞こえた。
「…冗談だよ。
結愛は何でもかんでも信じすぎ」
翔はそんなに面白かったのか口に手を添えて静かに爆笑してる。
「翔!?もう!いつも私をバカにして!」
「バカにはしてないよ。からかってるだけ。
結愛からかうの面白いから」
バカにしてないけど、からかってるって……
結局私のことバカにしてない?
翔はこんな調子で私のことをいつもからかってくる。