甘い初恋は、イケナイ最後の恋。




「これをゆあにやる」


「…これ何?」




大くんが出したのは一枚の小さい封筒。
メッセージカードとか入れるような小さいもの。




好奇心のままに封筒を開けるとそこには紙が一枚入っていて、その紙には『大くん一日独占券』と書かれていた。




「…大くん一日独占…券?」




紙に書かれていることをそのまま読むと大くんは満足そうに頬杖をついて笑った。




「そ。前に言ったよな?『いい点採れたらご褒美やるから頑張れ』って。
これがそのご褒美」


「あ、……」




そういえばテスト勉強してたノートにそんなこと書いてあった。




そのご褒美の字が嬉しくてテスト勉強頑張ったんだった!




「その券を使えばゆあは一日俺を独占できるってわけだ。
最高のご褒美だろ?
この独占券で二人で出掛けるか」


「え、ほんと!?嬉しい!」




大くんとお出掛けするのは再会してから初めてだから、さっきのモヤモヤした気持ちなんてどこかに吹っ飛んでしまっていた。




…でも待って。二人でお出掛け?




それってデートになるの!?
あ、いや、大くんはお兄ちゃんなんだからデートにはならないよね!?




そうだよ!ただのお出掛けだよ!落ち着け私!




心の中で勝手に舞い上がった気持ちを必死に沈めた。




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