bittersweet
「・・・。なんかひどくない?振るならちゃんと振ってくれればいいのに」

なんともいえない悲しい気持ちがこみ上げる。

泣いたら負けだと思って我慢する。

「オレだって真剣に答えたつもりだけど?オレも琴美ちゃん好きだし。付き合うからには琴美ちゃん一筋で大切にするよ」

どこまで本気で言ってるのかわからない・・・。

「バイトのことは理解してもらわないと困るけど。別にバイトの客に手出したりするわけじゃないしいいよね」

・・・あのバイトをやめる気はさらさらないらしい。

好きな人に付き合おうって答えてもらってるのに、大切にするって言われてるのにちっとも心に響かない。

「・・・もういい。私がさっき言ったこと全部忘れて」

「はぁ?」

吉岡くんがイライラした口調で言った。

「なんかわけがわからないんだけど。オレどうすればいいの?」

もう十分だ。やるだけのことをやった結果がこれだ。

「どうもしなくていい。じゃあね」

そういって走った。とりあえず闇雲に公園から逃げ出した。

涙がボロボロでてきた。

相手が悪すぎたよ。ほんと・・・

さすがに息切れしてとぼとぼ歩き出すとすっと横に一台の車が止まった。

私の働いてる会社のロゴの入った車だ。

「牧野?」

窓が開いて声をかけてきたのは高田さんだった。
< 20 / 30 >

この作品をシェア

pagetop