bittersweet

あきらめ

「ちょっ!おまえ顔ボロボロだぞ。とりあえず乗れ」

高田さんに言われ助手席に座る。

「すいません。仕事中だったんじゃないですか?」

「さっき得意先寄ってきたとこでさ。このまま直帰するつもりだったから大丈夫」

高田さんが言う。

「どっかで落ち着こうか」とちょうど目の前にあったマックに入る。

気持ちがだいぶ落ち着いていた。今1人じゃなくてよかった。なんだか孤独で押しつぶされそうな気持ちになってたから。

高田さん見つけてくれてありがとう。

「何あった?」

高田さんが心配そうに聞いてくれる。

「さっき会社に彼氏が迎えに来てたけど会えた?もしかしてその彼氏とケンカしたとか?」

あぁ、高田さん吉岡くんに私の所在を聞かれたんだよね。

「はい・・・。彼氏じゃないんですけど・・・」

今までのことを話した。合コンのこと。虎屋でのこと。告白して玉砕したこと。

高田さんは黙って聞いてくれた。

一通り話し終わって高田さんが口を開く。

「たしかに女泣かせそうなタイプには見えたけど。でもわざわざ会社まで謝りにくるなんて牧野のことほんとに好きだったのかもしれないよ」

「でも・・・」

「天然なんじゃない?自分から動かなくても女の子がよってくるから女の子の気持ちなんて考えたことないんだよ。考える必要もないんだろうし。だから牧野がなんで泣いたのかなんてわからないんだろうね」

「・・・。」

「同じ男としてうらやましいけど」

高田さんがニヤニヤしながら言う。
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