××夫婦、溺愛のなれそめ
すごい。ここまでやってくれたのに、全然押しつけがましくなかった。さりげなさすぎる。
「わ、すごい」
真由さんの心遣いに感動していると、横から歓声が聞こえて我に返る。そっちを見ると、レヴィがお弁当箱の蓋を開けたところだった。
「とても綺麗だね。芸術的だ」
そんな風に褒められるほどのものじゃないと思うけど……。
箸を持ち、「いただきます」と言ったレヴィは、最初に卵焼きを口に運んだ。
「うん、美味しい」
金茶色の髪にヘイゼルの瞳。そんな王子様な彼に卵焼き……激しく似合わない。
レヴィはあまり話さず、真剣にお弁当を食べてくれた。苦労して詰めたおかずやご飯が気持ちいいくらいの速さでなくなっていく。
「ごちそうさま。美味しかった」
あっという間に完食したレヴィ。なんだか幸福そうな彼の頬に、お米が一粒付いていた。
「ついてるよ」
大人なのに、どういう食べ方をしたらそうなるのか。
他の人ならドン引きするだろうけど、レヴィなら許せる。可愛い。
指先でお米を取って、自分の口に運ぶ。それを見て、レヴィは目を細めて微笑んだ。