××夫婦、溺愛のなれそめ

ああ、何かこれって……すごく幸せかも。

「これからは出勤前に作れるようにするね」

作り置きおかずのローテーションになるだろうから、今日の感動は初回限定だろうけど。

「無理はしなくてもいいと言いたいけど……ありがとう。すごく嬉しいよ。お弁当を作ってくれたのは、莉子が初めてだ」

「えっ?」

そういえば、神藤さんは朝食は作ってもお弁当は作っていなさそうだった。レヴィの部屋にお弁当箱がなかったのがその証拠だ。

神藤さんは完璧主義な感じがするもの。朝食や夕食の残りをお弁当に入れるなんてことはしたくなかったのかな。

っていうか秘書の仕事があるのに、上司のお弁当まで作れないよね、普通。レヴィもさすがにそこまではしなくていいと断るはずだし。

「でも、子供のときはお母さんが作ってくれなかった?」

浅丘グループの経営者一族の家だもの、たまにお弁当の日があるセレブ幼稚園に通っていそうなイメージなんだけどな。

ちなみに私は、遠足のとき以外ずーっと給食の出る保育園に預けられていた。お母さんは「楽で助かる。給食マジ神」なんて言っていた記憶がある。


< 107 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop