××夫婦、溺愛のなれそめ
甘い土日を過ぎ、一週間の有休消化期間に入った私は、まずスマホからいらない電話番号を消去した。
何かあるといけないから、前勤務先の人事部だけは残しておくとして、元同僚は全て消去。
いつの間にか、彼女たちを結婚式に呼んで悔しがらせようという発想はなくなっていた。
むしろ、レヴィの周囲にいる男性たちとの出会いの場を作ってあげるようなことはするものか。キヒヒとひそかに笑う私は、やっぱり性格が悪い。自分で言うのも何だけど。
夢のような土日が嘘だったかのように、月曜の朝からレヴィは超多忙だった。先週は無理に私のために時間を作ってくれていたのだろうか。昼間はめったに連絡が来ないし、夜は遅くに帰ってきた。
まあ、やたらと仕事中にメール寄越してくるような暇人も嫌だけどね……。
というわけで、ろくに式の相談もできないまま、木曜の夜。何故か五時過ぎに神藤さんがやってきた。
彼は私がレヴィのパートナーとして十分な能力を発揮しているか、確かめるように……ううん、はっきり言おう。姑みたいに、掃除の出来や洗濯物の畳み方などなどを偵察にきたようだ。
「……まあまあですかね……」
勝手にクローゼットや冷蔵庫を開けて、そのたびにふーっと深いため息をつく。感じ悪い。