俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「どうした!? 用がないならノックするな! 気が散るだろうが!!」

いつまでも入ってこない私に荒々しい声がぶつけられ肩がすくむ。

なにも悪いことをしていないのに、悪いことをした気分になり咄嗟に「すみません!」と言いながらドアを開けた。

「し、失礼します!」

声を上擦らせながらも室内に入ると、私の姿を見た和臣さんは目を丸くさせた。

そして私を凝視したまま椅子から立ち上がり、ツカツカと私の方へと歩み寄ってくる。

うっ……どうしよう。これはもしや怒られる?

田中さんに頼まれたからとはいえ、仕事中だったのを邪魔しちゃったわけだし。

そんな予感が脳裏をかすめたものの、彼は私の目の前で立ち止まると両手を大きく広げた。

「……代表?」

恐る恐る呼びかけると、いきなり彼は私の身体を苦しいほど抱きしめた。

「きゃっ!?」

突然の抱擁に悲鳴にも似た声を上げてしまう私に構うことなく、和臣さんは苦しいほど私をギューッと抱きしめる。

「すまん、千和! まさかお前だとは知らずに……!! 待たせている挙句に声を荒げてしまいすまなかった」
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