俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
私の身体を抱きしめたまま叫ぶように謝る和臣さん。

するとすかさず背後から田中さんが責め立てた。


「本当ですよ、代表。大川さんはご自身との食事の約束のために、代表が無理をされていないかと心配になり、わざわざご足労いただいたというのに」

えっ!? いや、私はそんなこと一言も……!

彼の腕の中で見の覚えのないことを、あたかも事実のように話す田中さんにギョッとする。

「なに!? 本当か!?」

いきなり抱きしめたかと思えば、今度は急に引き離され顔を覗き込んできた。

和臣さんの端正な顔が目の前に近づき、その迫力に一歩後退りしながらも頷くと、途端に彼は目を潤ませはじめた。


「うっ……! 俺の婚約者はなんて優しい子なんだ。田中!! 俺はやるぞ! 絶対に一時間以内に終わりにする!」

和臣さんが宣言すると、田中さんは深々と頭を下げた。

「是非そうしていただけますと、私も助かります」

すっかり上機嫌になりやる気が出た和臣さんは、涙を拭い自分のデスクで仕事を再開させた。
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