俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
おかしいよね、今思い返せば婚約しているのに、泊まっていかないか誘うだけであんなにも迷い悩んだことが。

普通は妹を優先するって言われたら、怒ってもいいところだったよね。

幸せだって感じられるけれど、こんな調子で本当に結婚して大丈夫なのかな。

毎日和臣さんと一緒に過ごして、そうしたら今よりもっとモヤモヤすることが増えてくるかもしれない。

その度に飲み込んで笑顔で送り出したり、受け入れることができるのかな。

私の中のモヤモヤは増えるばかりだった。




「それじゃ千和さん、今日はすみませんが行ってきます」

「うん、ゆっくりしてらっしゃい」

昼休みに入り、灯里ちゃんは慌ただしくオフィスを後にしていった。

学会から戻ってきた旦那さんとランチの約束をしているらしい。午前中は時計ばかり気にしてソワソワしていた。

そんな姿も愛らしいな、まったく。気分はすっかり姉の気分だ。

いつもは灯里ちゃんと昼食を取っていたけれど、今日はひとり。たまにはビルの外で食べようかな。
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