眠り王子が人ではなかったのですが。
「はいはい、気にしないで食べて!!」
『ありがとうございます』
渡されたシュークリームを、パクッと口に含んだ。柔らかい生地から溢れるように、クリームが飛び出してくる。クリームは甘さ控えめで、何個でもいけそうだ。
「おい、真白。私の分はないのか??」
茶々が、雪島君の足元をウロウロと歩き回る。
「茶々食べるの??猫は食べちゃダメなんだよ??」
雪島君は、ニマニマと意地悪そうな笑みを浮かべシュークリームをちらつかせた。
「私をそこらの猫と一緒にするな。食べれるに決まっておろうが」
茶々はムムムッと毛を逆立て、私の膝に飛び乗ってきた。吃驚しながらも、落ちないように補助した。
「朱里よ、あの悪魔には気を許してはならん」
「ちょっと平塚さんに変な事吹き込まないでよ」
プクーッと頬を膨らませる雪島君に、茶々はフンッとそっぽを向いた。