繋いだ歌【完結】


こうして家を飛び出したのはいいけど、何をしたらいいのかがわからない。
そんな僕の目に映ったのは。

……あ。


カラオケ。


昔、同級生と何回か行ったことがある。
曲制作を本格的に開始してからは放課後も時間がなくて、すぐに家に帰っていたから暇なんてなかったけど。


ふらりと店内へ入った僕は、店員に促されるままフリータイムで受付をした。
平日だからか、すぐに入ることが出来た。


他の客の歌声がドア越し聞こえる。
それは部屋に入っても続いていた。

……これ、僕の歌だ。
へえ。うまく歌うんだなあ。


そう考えながら、僕は新曲を適当に入れていった。
だけど、マイクを持つことはない。


じっとその伴奏を聞いていた。


ソファにゴロンっと寝っ転がり、天井を仰ぐ。
何やってんだろ。


音から逃げようと家を飛び出したのに、こんな音で溢れている場所に来るなんて。


ああ。僕ならここはこうする。こうした方がきっと心地いい。
でも、この曲のこのメロディラインいいな。


目を閉じて聞いていた僕は、最近あまり寝ていなかったこともあってか、そのまま眠ってしまった。
それからどれだけ寝ていたのか。コール音で僕は目を覚ました。

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