たぶん、トクベツちがいな恋。
・・・
大晦日。
俺たちは、集合したにも関わらず、なぜか近くのファミレスにいた。
「あ〜っ、さっむーい。凍え死にそうだわ!!」
もっこもこの上着を着て、以前恋人のめごちゃんから貰ったというマフラーをぐるぐる巻きにした珠理は、ファミレスに入ってからもそれを脱ごうとしない。
「ほら、珠理。コーヒー持ってきたから。これ飲んで温まって。そしておかしいから早くその上着脱ぎな。みっともないよ」
「ンン〜、ありがとうめご♡ねぇ、くっついていい?」
「…いーから、早く上着脱ぎな」
「ふふふ、だいすき♡」
公共の場とか関係なしに、恋人に引っ付きまくるこの男は、高校時代から全然変わっていない。
もう慣れていたはずなのに、思わず眉間にシワがよる。
「お前な。寒いのをいいことにイチャつくなよ!悲しくなってくるわ」
向かい側にあったつま先を蹴ってやった。以前よりもウザさがヒートアップしてるのは、この数年でめごちゃんが甘やかしてきた結果だろうか。
「まぁまぁいいじゃん、近海くん。この2人も毎日は会えてないんだからさ」
「そうよ〜!めごとクリスマス以来ずっと会えてなかったんだもの…このくらい許して」
「たった数日だろうが」
ふざけんな、と、もう一回蹴ってやった。痛いと文句を言う珠理は、そのままコーヒーを口に含む。
鶴岡八幡宮は、やっぱりものすごい人が並んでいたということで、少し落ち着くまでファミレスで積もる話をしようと言うことになったのだ。
夜に集まろうと言ったのはどこのどいつだ。こんなことなら、朝まで寝せてくれよ。眠いにも程がある。