たぶん、トクベツちがいな恋。


「今日、茶々ちゃん来れなかったの残念だねぇ」


我ながら機嫌があまりよろしくないなあと、モヤモヤしていたら、隣に座っていた瀬名ちゃんがこちらを向いていた。

目の前のバカップルは相変わらずで、その2人を巻き込んで話すつもりはないのか、俺にだけ話しかける。


「あぁ…うん。まぁ、塾の友達って言ってたし、仕方ないよな」


瀬名ちゃんから、茶々のことを聞かれるのは珍しい。瀬名ちゃんには、この気持ちを話したことはないし。

…けど、バレてんだろうな、きっと。珠理も気づいてたくらいだし。



「茶々ちゃん、元気?近海くんは、最近会ってないの?」

「うーん…。会ってねーな」

「そう。電話も?」

「…電話は、今日のこと誘う時に、したくらい」


茶々に会ったのは、チョコレートカフェに行った時が最後だ。あれから、あの顔を見ることはできていない。

勉強を教えてやるって言えば、きっといくらでも時間はあったんだろうけど、塾に行き始めたというなら、俺は必要ないんじゃないかと思ってしまって。

…全然、言えてない。踏み込めていない。

多分、このまま会わないで冬休みを終えるんじゃないかと思っているくらい。


スマホを開いてみた。当たり前のように、何も届いていない。


「…そっかあ。でもほら、あと少しで年も明けるからさ。もしかしたら、何かメッセージが来るかもしれないね」


スマホの時計の画面を指差しながら、瀬名ちゃんは笑った。

11時57分。あと、3分もしないうちに、この1年が終わる。


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