たぶん、トクベツちがいな恋。


「なんて書いてある?なんて書いてある?」

「うるせーな、覗くなよこれから読むんだから」


どうしてこんなに俺の結果が気になるのかよく分からないけど、珠理に急かされながら、俺は1文字ずつ神様からの言葉を読んだ。

全体運のこと、勉強のこと、引っ越しのこと、色々書いてあるけど、中でも珠理と見入ったのは、「交際」の文字。



——『より深まる。安心してよい。』



「アラッ、いいこと書いてあるじゃない!アタシたちとの仲が、もっと深まるってことかしら!」

「…どうだろうな」

「アッ、ほら、縁談も読んで!」


——『我が心、早く定めよ。』


…我が心、早く定めよ? って、これは縁談の話であって、まだ俺は結婚なんてする気はないし。
なんで見入ったんだ、恥ずかしい。


「いいなあ、近海。いいことばっかり書いてあって!茶々との仲も深まるといいわね」


ふふふ、と笑いながら、珠理は俺の肩を叩いた。余計なお世話だな、ことごとく。

なんとなく恥ずかしくなって、その手を振り払って珠理の頭を叩いた。痛い!と騒ぐ巨体に、自然と笑みがこぼれる。


「ハイハイ、とりあえず結んで来ようぜ。なんか食べたい。腹減った」

「アッ、アタシもお腹空いてたのよね〜!めご、瀬名ちゃん〜!」


…仲がより深まる、か。

まだまだ、深まっていくんだ。この仲は。
そう思うと、なんとなく、気分は晴れやかになった。


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