たぶん、トクベツちがいな恋。

・・・

結局、鶴岡八幡宮八幡宮でようやく手を合わせることができたのは、朝の8時前だった。

それまでは、ファミレスで時間を過ごして、その間にも何人か高校の奴らに出会って、話してを繰り返して。

気がついたら朝の6時になっていたから、高校の奴らが乗ってきていたワゴン車に乗せてもらって、そのまま由比ヶ浜に向かった。

7時過ぎに日が昇って、オレンジ色の太陽を見つけて、騒いでいる3人を見ていた。


俺は、周りで焚き火をしている人たちに混じって、あったまりながらスマホを眺めていた。だけど、茶々からの返信はなし。

多分、まだ寝てるんだ。そう思っていた。




「近海〜!おみくじ引いた?なんだった?」


清々しい空気の中、眠い目をこすっておみくじを引いた。まだまだ元気な珠理は、俺の結果が気になるようで、そばに寄ってくる。

鶴岡八幡宮にある、「鳩みくじ」。
おみくじと一緒に、鳩のおまもりが入っているおみくじだ。そのおまもりが可愛いと、観光客にも人気。


珠理に返事をする気力もなくて、そのままぴらぴらと開いていった。すると、ぼーっとする視界には、大きく「大吉」の文字が見えた。

「あっ!」

珠理が大きな声をあげる。転がり落ちてきた鳩のおまもりは、もも色だった。


「近海、すごい!大吉じゃない!アタシ、中吉だったからなあ〜!いいなあ!」

「…ほんとだ、久しぶりに大吉出たわ」


久しぶり、なんて、いつ大吉が出たかもあまり覚えてないんだけどな。去年、何吉だったのかも、本当は覚えていないし。

でも、大吉じゃなかったことは、確かだ。


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