たぶん、トクベツちがいな恋。


「なぁんだ〜!陸奥くんここにいたんだ!ってか、なんで高校生!?可愛い!!!」


ズカズカと教室に入ってきた紀伊さんは、茶々たちを見つけるなり、テンションマックス。可愛いだの、かっこいいだの、高校生最高などと騒ぎ立てる。


「えっ、近海くんの後輩たち?」

「はぁ、まぁ…。この子は学校がまた違いますけど」


ウキョウくんは知らない。そんな感じで紹介すると、ちょっと嫌そうな表情が帰ってきた。でも本当のことだろ、仕方ないじゃねーか。


「へぇ〜そっか!初めまして、あたしは紀伊夏実です♡陸奥くんと、付き合ってます♡」

「紀伊さん、もうその冗談面白くないです。彼氏が泣きますよ」

「ええ〜!だって陸奥くんの方が可愛い顔してるもん〜!」

「はいはい…」


さすが、茶々が『トーキョーの女』と言い放っただけある。お酒も飲んでないシラフでこのテンションだ。いい人だけど、ちょっとだけ疲れる。

はははと頑張って笑っているウキョウくんと初ちゃん。「鎌倉から来たの〜!?」と、話しかける紀伊さんをよそに、俺は茶々の腕を引っ張って教室を出た。


「…茶々、これから俺、バイト行くけど。3人で本当に大丈夫か?」


時計を見る。時間は5分前。そろそろ行かないと待ち合わせに間に合わない。

だけど茶々は、眉間にしわを寄せた状態で、キッと俺の方を睨んでいた。

…え?

なんで、こんな顔してるんだ。


「茶々…?お前、なんでそんな…」

「近海のバカ!! チャラ男!!」

「ハァ!?!?」


突然、廊下に響き渡る声。教室は防音で、ドアを閉めていたからよかったものの。それでも、廊下には茶々の甲高い声が広がった。


つーか、今…

『チャラ男』って、言った…?


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